そんなのルールがあるの?

query_builder 2025/04/24
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そんなのルールがあるの?

知っていますか?

ふだん目にしている「ブロック塀」や「建物の配置」。どこに何があっても不思議ではないような住宅地の風景の中で、実は“ルール”があることをご存じでしょうか。

たとえば、隣の家との距離。
たとえば、道路に面したブロック塀の高さ。

これらには、思った以上に厳格な規定が存在します。そして、その“知らなかった”が後になって大きな問題へとつながることもあるのです。特に不動産の売却時や、リフォーム・建て替えを検討する際には注意が必要です。

「そんなルールがあるの?」
「え、それダメなの?」
「これって、何かに違反してたの…?」

こうした驚きの声は、実際の現場でも数多く耳にします。そしてその多くは、“気づかないまま”家を所有し、暮らしている方々の声です。

とくに都市部に多い狭小地や、土地に余裕のない住宅では「隣地との距離」の取り方が極めて重要です。建物をどこに建てるか、どのくらい離すかで、そもそも増築や建て替えができるかどうかが変わってしまいます。

また、ブロック塀はどんな物件にも関係があります。たとえ古くても、低くても、「安全性」や「法規制」に照らして適切でなければ、行政指導や解体命令の対象になることも。

これらの“気づきにくいルール”は、実は不動産の価格や売却条件、住宅ローンの審査にも影響を及ぼします。

「隣地との距離が足りなくて増築できない」
「ブロック塀の高さが違反していて解体費用が発生する」
「既存不適格で住宅ローンが通らない」
――そんな思わぬ落とし穴にはまってしまうことも。

この記事では、ふだんの生活では意識されにくい「建物と境界の距離」や「ブロック塀の高さ」について、法律的な背景と実務上の注意点をわかりやすく解説していきます。

本記事で取り上げる内容:

  • 建物と境界の距離に関する法的ルールと事例

  • ブロック塀の高さが問題になる場面と改正ポイント

  • 売却時に不利になる要因とその対策

  • 狭小住宅・土地に多い注意点

  • 専門家が現場で見ている“気づかれにくいポイント”

「今の家、大丈夫かな?」
「これから売るとき、トラブルにならないかな?」
そんな疑問をお持ちの方にとって、本記事が“気づき”と“安心”につながるきっかけとなれば幸いです。

次章からは、具体的な法律の内容や現場で起こっている実例を交えながら、より深く掘り下げていきます。どうぞ最後までご覧ください。

第1章:建物と境界の距離にはルールがある

住宅を建てるとき、「どこに建ててもいい」と思っていませんか? 実は、建物と隣地の境界線との距離には建築基準法をはじめとするルールが存在します。

特に注意すべきは、「防火地域」や「準防火地域」に指定されたエリア、あるいは市町村によって独自に定められた条例です。これらは、火災の延焼を防ぐためや、安全性・プライバシーを守るために設けられています。

● 建築基準法における「隣地境界線の離れ」

建築基準法では、一定の条件下で以下のような離れが必要とされています:

  • 木造住宅の場合、隣地境界線から50cm以上離すことが原則(ただし地域や用途地域によって例外あり)

  • 延焼防止のため、隣地との距離を十分に確保する義務

この「50cmルール」は建築の許可だけでなく、後の売却時の住宅ローン審査や現地調査においても重要視されます。境界との距離が確保できていないことで、「建ぺい率」「容積率」の制限や増築の不許可など、思わぬ不利益を被ることがあるのです。

● 境界があいまいな物件は要注意

売買の現場で実際に多いのが、「隣との境界がはっきりしていない」「測量図がない」「杭が抜けている」といったケースです。

このような場合、建物が越境していたり、越境されていたりするリスクがあります。これを明確にするためには、境界確定測量が必要ですが、費用も時間もかかるため、売却のスケジュールに大きく影響を及ぼすことがあります。

気づかないうちにトラブルの種を抱えている――それが境界問題の厄介な点です。

● 狭小地では数十cmが命取りに

都心部や住宅が密集した地域では、わずかなスペースが「建てられる/建てられない」の分岐点になります。

特に狭小地においては、「隣家と近すぎる」「セットバックが必要」など、ほんの数十cmの距離が建築計画や将来の資産価値に大きな影響を及ぼします。



第2章:ブロック塀にも法律があるって知ってましたか?

一見すると無害に見えるブロック塀。しかし、これも立派な「構造物」として建築基準法の規制対象です。
実際、過去の震災や事故をきっかけに、ブロック塀に対する法的な基準は大きく見直され、厳格化されてきました。

● きっかけは「大阪北部地震」— 2018年の痛ましい事故

2018年6月、大阪府北部で起きた震度6弱の地震。ある小学校のブロック塀が倒壊し、通学中の女児が命を落としました。この痛ましい事故は社会に衝撃を与え、全国のブロック塀の安全性が一気に見直される契機となりました。

このような事故を受け、国土交通省はブロック塀の安全点検マニュアルを公表し、自治体による安全点検や助成制度も拡充されました。

「どこにでもあるもの」が、命に関わるリスクをはらんでいた。
この現実が、ブロック塀への意識を変えるきっかけになったのです。

● 高さ1.2mを超える塀には構造基準がある

建築基準法施行令第62条の8では、コンクリートブロック造の塀について、以下のような規定があります:

  • 高さは1.2m以下が原則

  • 1.2mを超える場合は「控え壁」や「鉄筋補強」が必要

  • 地盤や基礎の強度も適切でなければならない

にもかかわらず、多くの既存住宅では「1.5m」「2m」に達するような高い塀が今も放置されています。
しかも多くは、控え壁も鉄筋もない“旧基準”のままです。

これが、売却時に思わぬ指摘を受ける原因となります。

● ブロック塀が問題視される3つの場面

1. 売却時の現地調査

買主側の建築士や住宅ローンの金融機関が調査を行う際、「ブロック塀が建築基準法に適合しているか」が確認されます。
違反が見つかると、是正(撤去・補修)を求められることも。

2. 火災保険・地震保険の申請時

塀の倒壊による被害が起きた際、「適法に設置されていなかった」ことが原因で保険の支払いが否定されるケースもあります。

3. 行政からの指導や命令

地域の点検によって危険と判断されれば、改善命令や撤去命令が出される可能性も。その費用は当然、所有者負担です。

● 実際にあった売却トラブルの一例

ある中古住宅の売却現場で、買主側の住宅ローン審査中にブロック塀の安全性が問題に。
結果として「このままではローン審査が通らない」となり、売主は約30万円の費用をかけて塀を撤去・再設置。その間に売却は数ヶ月遅延しました。

このように、ブロック塀は「どこにでもある」けれど、価格や売却条件に直結する重大なポイントでもあるのです。



第3章:知らずに売ると損する!?価格と条件に及ぼす影響

「建物と境界の距離」や「ブロック塀の高さ」など、法令で定められた細かいルール。
一見すると、住んでいる間はあまり気にならない項目かもしれません。

しかし――
いざ「売ろう」としたときに、“大きな壁”となって立ちはだかることがあるのです。
実際の不動産売却において、価格や条件にどう影響してくるのか、その現実を見ていきましょう。


● 買主は「問題のない家」を選ぶ

不動産の購入は、一生に一度の大きな決断。
だからこそ、購入前のチェックは非常に厳格に行われます

  • 金融機関の住宅ローン審査

  • リフォーム業者の現地調査

  • 建築士による再建築可否のチェック

このとき、**「境界のどの部分に建物や塀が立っているか」**が重要視されるのです。

たとえば、

  • ブロック塀が境界線をまたいで隣地に越境していた

  • 建物の一部(ひさし・排水管など)が敷地外に出ていた

といった場合、買主にとっては「後でトラブルになるかもしれない」と判断され、敬遠されてしまうことがあります。
“ミリ単位”での違反が命取りになる――それが現実です。


● 査定価格が下がる要因になる

不動産会社が査定する際、法的な適合性や境界の状況も厳しく見ます。

特に以下のような状況があると、価格を下げざるを得なくなるケースが多くあります:

  • 境界杭がない/境界未確定

  • 建物が境界ギリギリに建っており、建て替えや増築が困難

  • ブロック塀が敷地を越えていた/老朽化していた

「どの位置に」「何が」立っているかがわからない物件は、買主も金融機関も避ける傾向にあり、結果的に査定価格が下がる原因になるのです。


● ローン審査に通らない“既存不適格”

建築当時は合法でも、法改正により今は違反状態となっている物件を「既存不適格」と呼びます。

この状態が見つかると、

  • 金融機関が住宅ローンを出さない

  • フルローンが不可、買主が購入を断念

  • 建て替え時に制限がかかる

といったリスクが生じます。
特に「建物が現在の基準では立てられない場所に建っている」と判断された場合、資産価値が大幅に下がる可能性すらあるのです。


是正工事=費用と時間の負担

越境やブロック塀の撤去、境界確定測量などの是正が必要になると、売主側に大きな負担がのしかかります。

  • 測量と確定:約30〜80万円

  • 塀の撤去と再設置:30〜100万円以上

  • 隣地との交渉費用:弁護士や司法書士が必要になることも

しかも、これらの是正は売買契約の直前やローン審査中に発覚するケースが多く、売却スケジュールを大きく狂わせる原因になります。


● 「あと一歩で売れなかった」実例

  • 越境塀の問題で金融機関からNGが出て、買主がローンを断念

  • 敷地内の境界不明確で、売買契約直前に白紙解約

  • 是正工事に数十万円かかると説明した途端、購入辞退された

これらはすべて、「知らなかった」ことが引き金となったもの。
しかし、知ってさえいれば、対策は取れるのです。



第4章:あなたの家は大丈夫?今すぐできる3つのチェック

「そんなルールがあるの?」
「まさか自分の家が…」

ここまで読み進めて、そう感じた方も多いのではないでしょうか。
でもご安心ください。すぐにできる“簡単なチェック”を行うだけでも、リスクの有無を把握する手がかりになります。

今回は、売却やリフォームの前にぜひ確認してほしい3つのポイントをご紹介します。


【チェック1】境界標(杭)は見えますか?

まずはご自宅の敷地の四隅や道路との接点に**「境界杭」**があるかを見てみましょう。

  • コンクリートに金属プレートが埋まっているタイプ

  • プラスチック杭や石杭など、目印になっているもの

これが見当たらない場合や、明らかに抜けてしまっている場合、正確な境界が不明確な状態である可能性があります。
また、杭があってもどちらの土地に属しているか(片方・中央・共有)が問題になるケースもあります。

特にブロック塀が「心積み」になっている場合は、一方的に解体や修繕ができないため注意が必要です。


【チェック2】ブロック塀の高さと傾きは?

ご自宅の周囲を一周してみて、ブロック塀をチェックしてみましょう。

  • 高さが1.2m以上ある場合は、控え壁や鉄筋補強がされているか?

  • 表面のひび割れや傾き、欠けはないか?

  • 境界線上に建っている場合、その所有関係は明確か?

これらの確認ポイントをチェックすることで、構造的なリスク売却前の修繕要否を早期に判断できます。

なお、見た目が問題なくても、築年数が30年以上経っている場合は内部が劣化している可能性が高く、調査をおすすめします。


【チェック3】図面・測量図・契約書は残っていますか?

ご自身で手元の書類を確認してみましょう。

  • 土地の測量図(筆界・境界線の明示)

  • 建築確認申請図面(建物の位置や距離の記載あり)

  • 売買契約書(取得時の重要事項記載)

これらが揃っていない場合、将来的に「境界不明確」「再建築不可」といったリスクにつながることがあります。

特に、親から相続した家や古い物件では、これらの書類が紛失しているケースも多く、その場合は事前に専門家に相談しておくことが重要です。


まとめ:わからない=リスク

上記3つのポイント、ひとつでも「よくわからない」「確認できない」と感じたら、それはすでにリスクの兆候かもしれません。

大切なのは、「今、気づけたこと」。
このタイミングで把握し、早めに動いておくことで、大きな損失やトラブルを未然に防ぐことができます。


次回はいよいよ最終章です。
これまでの内容を振り返りながら、「なぜ今、知っておくべきなのか」、そして「どう行動すればいいのか」を整理します。



第5章:まとめ 〜知らないと損するからこそ、今知ってほしい〜

「そんなルールがあるの?」
「何気づいて無いの?」

この記事をここまで読み進めたあなたは、もう“気づいている人”です。
ブロック塀の高さや建物と境界の距離が、ただのマナーや見た目の問題ではなく、法律で定められたルールであること、そしてその違反が不動産の価格や売却条件、取引成立にまで大きな影響を与えることを知ったはずです。


● 今だからこそ“確認”が価値になる

不動産売却というのは、家を手放すというだけでなく、資産をどう引き継ぐか・整理するかという大きな意思決定でもあります。

売る前に、

  • 敷地の境界が明確か?

  • 建物や塀の位置は問題ないか?

  • 是正が必要なリスクがないか?

これらを確認しておくことで、あとから発生するトラブルを未然に防ぎ、納得のいく価格で、安全に売却できる可能性が高まります

● 法律と安全と資産価値は、つながっている

一見関係がなさそうに見える「建築基準法」や「地方条例」といったルールも、私たちの資産や暮らしの安全と密接に結びついています。

特に都市部や狭小地では、たった数十センチの境界のずれや、ブロック塀の高さ数十cmが、建て替え可能か否か、ローンが通るか否か、資産評価にどのようなマイナスがあるかを決めてしまいます。

見えないルールこそ、資産価値に直結する
それが今回お伝えしたかった最も重要なポイントです。


迷ったら、早めに専門家に相談を

もし「境界が曖昧かも…」「塀が古いけど大丈夫かな…」と思ったら、放置せずに専門家の意見を聞いてください

  • 不動産のプロ(売却相談・資産評価)

  • 測量士(境界確定)

  • 建築士(建築基準の診断)

  • 行政書士や司法書士(権利関係の整理)

これらの連携によって、適切な是正や価値判断が可能になります
特に将来の売却や相続を見据えるなら、早い段階でのチェックが何よりの“備え”です。


最後に 〜あなたの「知らなかった」を「よかった」に変えるために

この記事のタイトルは『こんな法律知らなかった』でした。
でも、今のあなたはもう違います。気づいた今から、備えること・守ること・価値を高めることができます。

「何気づいて無いの?」に気づくことは、単なる注意ではありません。
それは、未来の安心と損しない選択の第一歩です。

家はただの箱ではありません。
暮らしを支え、資産を守り、世代を超えてつないでいく存在です。

その価値をしっかりと守るために――
小さな“境界”や“塀”から、見直してみませんか?


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