リフォームしてから売った方がいいの?

query_builder 2025/04/11
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リフォームしてから売った方がいいの?

「このままでは、誰も住めないかもしれない――」
築年数が経過し、傷みが目立ち始めた住宅を前に、こんな思いがよぎることはないでしょうか。使い込まれたキッチン、年季の入った浴室、ひび割れた壁紙や色あせたフローリング。売却を考えたときに、まず頭に浮かぶのは「この状態で買い手がつくのか?」という疑問です。

そんなときに出てくる選択肢が「リフォームをしてから売却する」こと。確かに、見た目がきれいで、すぐに住める状態の物件のほうが、内見時の印象はよくなりますし、「手間なく住める家」は一定のニーズもあります。
しかし一方で、リフォームにかかる費用は決して安くなく、工事の期間や内容によっては数週間から数カ月のタイムラグも生じます。費用をかけた割に、売却価格にどれだけ反映されるかが読めない――そんな不安もつきまといます。

実際のところ、リフォームしてから売却するのと、現況のまま売るのとでは、どちらが得なのでしょうか?
また、「売りやすさ」や「価格」にどれほどの差が出るのかも、非常に気になるところです。

本記事では、「リフォーム済?現況?」という判断軸をもとに、それぞれのメリット・デメリット、そして物件の状況や買主のニーズに応じた最適な選択肢について掘り下げていきます。
リフォーム費用の目安、買主の本音、最近の市場動向、さらに売却戦略としてどんな選択がベストなのか。全方位から分析し、「売りやすさは?」という問いに対する答えを導き出していきます。

「売る前に手を加えるべきか、それともそのまま出すべきか?」――その判断が売却成功の鍵を握っているかもしれません。



1. リフォームしてから売却するという選択肢

「見た目がすべてじゃない」とは言っても、不動産の第一印象が買主の意思決定に与える影響は決して小さくありません。特に、購入後すぐに住むことを前提とするエンドユーザー(実需層)にとって、「すぐに住める」という安心感は重要なポイントになります。

例えば、水回りのリフォームを終えた物件は、見た目の清潔感や利便性が高まり、内見時の印象が格段に向上します。さらに、設備が新しいことが「長く安心して住める家」という心理的価値を与えるため、「少し高くてもこの家に決めたい」という動機づけにつながりやすくなるのです。

また、築年数が古い物件であっても、部分的なリフォームや表層リノベーション(クロス・床の張り替えなど)によって、購入検討層の幅が広がる傾向も見られます。住宅ローンが通りやすくなる、物件広告で「リフォーム済」と打ち出せる、といったマーケティング的なメリットも大きいでしょう。

ただし、ここで忘れてはいけないのが「コストと回収のバランス」です。リフォーム費用は内容によって数十万~数百万円単位となり、それが売却価格にどこまで反映されるかは、市場の状況や立地、ターゲット層によって大きく異なります。
つまり、「お金をかければかけただけ、高く売れる」とは限らないのです。

加えてもう一つ見落としがちなリスクがあります。それは、リフォーム内容が買主の好みや暮らし方に合わない可能性です。
たとえば、間取りを変更したり、キッチンの色や浴室の仕様にこだわったリフォームを施した場合、それが万人にとって魅力的とは限りません。結果として、買主によっては「せっかく直してあっても、自分たちの好みではない」と感じてしまい、逆に評価が下がってしまうケースもあるのです。

お客様の利用方法や家族構成、ライフスタイルをこちらで限定してしまうリフォームは、「これをするならその分高く売らないと割に合わない」という売主側の事情も生み出します。つまり、リフォームをしたがゆえに売却金額に“上乗せせざるを得ない”というプレッシャーが生じるのです。
この価格上昇が、結果的に売れにくさにつながるというジレンマを抱えることにもなりかねません。

この章では、リフォームしてから売ることの一般的なメリットと、見落としがちなリスクを整理しました。
次章では一転して、「あえて現況のままで売る」という考え方について掘り下げていきます。




2. リフォームせずに現況のまま売るという判断

一見すると「何も手を加えないで売る」というのは消極的な選択に見えるかもしれません。しかし、近年の不動産市場では、この“現況販売”をあえて選ぶ売主も少なくありません。特に築年数が経っていたり、すぐに住める状態ではなかったりする住宅であれば、むしろ現況のまま売るほうが合理的なケースも多いのです。

その理由の一つが、「買主の自由度を残せること」。リフォーム済の住宅では、内装や設備がすでに完成しているため、買主はその仕様に合わせて生活を始めることになります。一方で、現況の物件は「自分たち好みに変えられる余白」があるため、リノベーション前提で物件を探している層には高く評価されることもあります。

特に昨今は、「自分たちのライフスタイルに合わせた家づくり」を望む人が増えています。キッチンの配置、浴室の広さ、収納の位置や間取りの柔軟性など、「どうせリフォームするなら、最初から自分でやりたい」というニーズも確実に存在しているのです。

また、現況で販売することにより、売主側のコスト負担が最小限になるという大きなメリットもあります。リフォームにかかる費用や工事期間を考慮しなくて済むため、すぐに市場に出せるというスピード感も魅力です。
さらに、リフォームに投資した金額が売却価格に反映されるとは限らないリスクを回避できる点も、現況販売の安心材料と言えるでしょう。

もちろん、現況販売には“デメリット”もあります。たとえば、室内の劣化や生活感が残っていると、買主にネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。また、住宅ローンの審査において「著しく使用感のある住宅」は評価が下がりやすく、購入希望者がローンを組めないというケースも起こりえます。

とはいえ、そうした点も**「現況渡し」「修繕義務なし」などの条件を明示する」ことで、事前にトラブルを回避**できますし、買主側もあらかじめ納得して内見に来るため、無理な期待を持たれることも少なくなります。

さらに、売主にとって最大のメリットは、**「売れなかった場合でも損失が少ない」**という点です。高額なリフォームを施した後に売れ残るというリスクを回避できる現況販売は、慎重な資金運用をしたい方にとっては有力な選択肢と言えるでしょう。

次章では、こうした「売却のしやすさ」について、より具体的に掘り下げていきます。
売主がもっとも気にするポイント――**「売りやすさは?」**について、リフォーム済と現況の違いを明らかにしていきましょう。




3. 売却時における“売りやすさ”の正体とは?

「売りやすい物件にしたい」という思いは、どの売主にも共通する願いです。では、そもそも“売りやすさ”とは何を意味するのでしょうか?それは単に「早く売れること」だけではなく、希望する価格に近い形で、スムーズに、トラブルなく売却できることを指します。

この“売りやすさ”を構成する主な要素は、以下の通りです:

  • 第一印象の良さ(内見時の印象)

  • 価格設定の妥当性と市場との整合性

  • ターゲットとなる買主層の広さ

  • 購入後の手間や不安の少なさ

  • 住宅ローン審査の通りやすさ

リフォーム済物件の“売りやすさ”

リフォーム済の住宅は、これらの条件のうち「第一印象の良さ」「手間の少なさ」「ローン審査の通りやすさ」などにおいて強みを持ちます。実際に、クロスや床、キッチンやバスルームなどが新しくなっていれば、内見時の印象は格段に良くなり、「ここならすぐ住める」という安心感を買主に与えることができます。

さらに、物件資料に「リフォーム済」「新品設備」といった表現が加わることで、検索時の目にも留まりやすくなるため、集客効果の面でも有利になります。

ただし、繰り返しになりますが、ここには「誰のためのリフォームか?」という問題があります。
買主の趣味やニーズを先回りして汲み取るのは非常に難しく、結果としてピンポイントな層にしか響かない“限定的な売りやすさ”にとどまってしまう可能性もあります。
そして当然ながら、かけた費用の分だけ価格を上乗せする必要があるため、価格面での競争力を失うリスクもあります。

現況物件の“売りやすさ”

一方、現況販売の物件は、最初から「そのまま住むのは難しい」と買主に伝えたうえで販売することになります。この場合、第一印象やローンの通りやすさといった面では不利になることが多いですが、“価格の魅力”という武器を活かして売却する戦略が有効です。

現況のまま販売する物件は、リフォーム費用がかかることを前提に価格が抑えられるため、トータルコストを意識して物件を探す層――たとえばDIY志向やリノベーション前提の購入者には魅力的に映ります。
また、不動産投資家や建築業者、収益化を前提とした買主など、「自分で手を加える前提で動く層」にとっては、むしろ現況の方が都合がいいということも珍しくありません。

つまり、「売りやすさ」というのは買主の属性によってまったく異なるということです。
“すぐ住める家”を求める人にはリフォーム済が、“自分好みに変えたい”という人には現況が、それぞれ売りやすい形と言えるでしょう。

次章では、こうした「どちらが得か?」という感覚を、さらに数字で見ていきます。
リフォーム費用と売却価格のバランス――**「費用対効果で考えるリフォームの是非」**に進みましょう。





4. 費用対効果で考えるリフォームの是非

売却前のリフォームを検討する際、多くの方が陥るジレンマがあります。それが、「せっかくお金をかけるのだから、その分高く売れるだろう」という期待です。確かに、見た目が良くなれば買い手の印象は良くなり、成約につながる可能性も高まるかもしれません。しかし、その投資がどこまで“回収可能”なのかを冷静に見極めることが大切です。

リフォーム費用と売却価格の関係

たとえば、キッチンや浴室などの水回りを新品に交換すると、一般的な戸建住宅で100万〜300万円程度の費用がかかることがあります。内装の表層リフォーム(クロスや床材の張替え)でも、50万〜100万円前後が目安になります。外壁塗装や屋根の補修などが加わると、さらに数十万円〜百万円単位で費用が上乗せされることも珍しくありません。

問題は、この投じたコストがそのまま売却価格に反映されるわけではないということです。たとえば200万円かけてフルリフォームしたとしても、それによって200万円高く売れる保証はどこにもありません。実際の市場では、リフォーム費用の回収率は平均で50〜70%前後と言われています。
つまり、「かけた費用の3割〜5割は戻ってこない」可能性があるということです。

“リフォーム=価値アップ”ではない現実

リフォームは、確かに物件の魅力を高める手段ですが、過剰な設備投資や個性的すぎるデザインは、買主の選択肢を狭め、結果的に売却期間の長期化や値下げ交渉につながるケースもあります。

また、相場を超えた価格設定にしてしまうことで、「他の同条件の物件に比べて高すぎる」という印象を与え、検索段階で候補から外されてしまうことも。
特にネット上のポータルサイトでは、“価格帯”での比較が重視されるため、価格が上がった分だけ買主の目に届きにくくなるという盲点もあります。

得られる効果を“コスト以外”でも評価する

とはいえ、リフォームがまったく意味がないわけではありません。
たとえば「内見に来る人が明らかに増える」「現地案内後の反応が良くなる」「短期間で成約につながる」といった売却スピードの向上や、価格交渉の減少という効果が得られることもあります。

また、空き家期間が長引くと固定資産税や維持費がかかり続けるため、「少しでも早く売って手放したい」と考える場合は、一定のリフォームによって“売却の加速装置”としての役割を期待することもできるでしょう。

重要なのは、「どの程度の費用を、どの範囲でかけるのか」を見極めることです。
全面改修が必要なケースもあれば、逆に最低限の清掃と美装だけで十分なこともある。つまり、やみくもにリフォームをすれば得になるわけではなく、費用対効果を冷静に判断する戦略的な思考が求められるのです。

次章では、こうした判断をさらに深めるために、買主の視点に立ってみましょう。
「買主は、どんな家に魅力を感じるのか?」――そのリアルな心理を探っていきます。




5. 買主の視点に立って考える「選ばれる家」

不動産売却において、売主が最も意識すべきは“買主の目線”です。
物件を売るという行為は、単に「家を出すこと」ではなく、「選ばれる家をつくること」でもあります。つまり、どのような視点で買主が物件を見ているかを理解することが、売却成功の鍵となるのです。

買主が物件選びで重視するポイント

不動産購入者が内見時や物件資料で最初に注目するポイントには、以下のような傾向があります:

  • 価格と立地(通勤・通学、買い物などの利便性)

  • 建物の状態(見た目の清潔感や設備の古さ)

  • リフォーム・リノベーションの有無

  • 入居までの手間の多寡(すぐ住めるか?)

  • 将来的な価値(資産性やリフォームのしやすさ)

このなかで特に重視されやすいのが、「手間なく住めるかどうか」。
小さなお子さんがいる家庭や、高齢の親と同居予定の世帯などにとって、“すぐに快適に住めること”は、物件選びの大きな決め手となります。そうした層にとって、リフォーム済の物件は強く魅力を感じる選択肢となるでしょう。

一方で、最近増えているのが「自分たちでリノベーションしたい」というニーズです。
特に30代~40代の子育て世代や、趣味性の高いライフスタイルを求める層は、「内装や設備は自分たちの好みで整えたい」「間取りをゼロから見直したい」と考えることも多く、リフォーム済物件よりも現況物件を好む傾向が見られます。

売却の“目的”によって選ぶべき戦略が変わる

ここで忘れてはいけないのが、売主自身が「なぜ売るのか?」という目的を明確にしておくことです。

  • できるだけ高く売りたいのか?

  • とにかく早く売って現金化したいのか?

  • 相続や管理の問題を解消したいのか?

  • 誰かに大切に使ってもらえる形で手放したいのか?

この“目的”がブレてしまうと、リフォームをすべきか、現況で売るべきかという判断も迷いが生じやすくなります。

たとえば、「できるだけ高く売りたい」という目的があるなら、リフォームによって物件の価値を引き上げて売る選択が適しているかもしれません。
一方、「早く処分したい」「手元資金を早く確保したい」といった目的であれば、あえて現況のまま、価格を下げてでもスピード感を優先する方が合理的です。

つまり、“買主の視点”に立つと同時に、“自分の売却目的”も明確にしておくことが、戦略の軸になるのです。




6. 不動産業者はどう判断しているのか?

「リフォームして売るべきか?」「現況のままで売るべきか?」という悩みは、売主にとって非常に大きなテーマです。そして実は、多くの不動産業者もこの問いに対して、一律の正解を持っているわけではありません。
なぜなら、物件の状態・エリア特性・価格帯・売主の事情・買主の傾向など、あらゆる要素が複雑に絡み合ってくるからです。

業者の基本スタンスは「市場とターゲット次第」

不動産業者がリフォームの要否を判断する際、まず重視するのは**「その地域の買主層」と「競合物件の動向」**です。

たとえば、比較的若い世代が多く住む都市近郊エリアであれば、「すぐ住める」「清潔感のある」リフォーム済物件が好まれる傾向があります。
一方で、郊外や地方のエリアでは、価格重視の買主やDIY志向の人々が多く、現況物件でもしっかり売れるケースもあります。

また、現在のマーケットにおいて「同じ価格帯でリフォーム済の競合が多い」場合には、現況のまま出しても見劣りしてしまい、売れ残るリスクが高まります。
このようなケースでは、「最低限の見栄えを整えるリフォーム」を提案することも多く、コストと見た目のバランスを重視するのが業者の現実的な戦略です。

業者は“売れる価格”から逆算して考える

不動産業者が売却戦略を立てる際の基本的な考え方は、「市場で売れる価格」を最初に想定し、そこから逆算して動くことです。

たとえば、その物件が市場で2,000万円で売れると予想されるとしたら、300万円のリフォーム費用をかけた場合、2,300万円で売れるのかどうかが重要になります。
仮にリフォーム後も価格が2,050万円しか見込めないのであれば、そもそもそのリフォームには経済的合理性がないと判断されるわけです。

業者によっては、リフォーム業者や建築士と連携して「どこまでやれば費用対効果が高いか」「最低限の改修はどこか」といったアドバイスをくれる場合もあります。
このような**“客観的な見積もりと相場分析に基づく判断”が、売主の感覚だけでは見えにくい部分を補ってくれる**のです。

売却の“目的”を共有することがカギ

ここで大切なのが、売主が「何を優先したいのか」という目的を、業者としっかり共有することです。

  • 価格重視でいきたいのか?

  • 時間優先でとにかく早く売りたいのか?

  • 少しでも魅力的に見せたいのか?

  • 手間をかけずに済ませたいのか?

こうした「売主の目的」がはっきりしていれば、業者はそれに合わせた売却プランを提案できます。
逆に、目的があいまいなままだと、業者も判断を迷い、「とりあえずリフォームした方がいいかもしれませんね」といった曖昧な提案に終始してしまうこともあります。

だからこそ、“自分のゴール”を明確にし、それを業者と共有することが、戦略的な売却の第一歩なのです。




7. “このままでは住めない家”の売却成功事例

築年数が古く、水回りもボロボロで、クロスははがれ、床はきしむ……
「このままでは住めない」と思えるような物件でも、工夫次第でしっかりと売却に成功したケースは数多く存在します。ここでは、実際にあった事例を通して、リフォームをせずに売れたパターン、そして最低限の手直しで売れたパターンをご紹介します。

事例①:リフォームせず、あえて「素材」として訴求したケース

【物件概要】
築45年/木造2階建て/都市郊外エリア/雨漏りあり・水回り要修繕/相続物件

【戦略】
売主は高齢の方で、相続した空き家をどう処分すべきか悩んでいました。
リフォームの資金も時間もない状況だったため、不動産業者は「現況のまま、建物付き土地」として販売することを提案。

物件情報には、「建物の使用には修繕が必要」「リフォーム・建替え前提でご検討ください」と正直に記載し、“DIYやリノベーション素材を求める方へ”という明確なターゲット訴求を行いました。

【結果】
内見者は少数だったものの、最初の1ヶ月で3件の反響があり、そのうち1組の若い夫婦が「この価格なら、リノベ費用を含めても割安」と判断し、希望価格の95%で成約。
リフォームせずに売れたことで、売主側の負担は最小限に抑えられました。

事例②:最小限の清掃と美装だけで印象アップにつなげたケース

【物件概要】
築38年/駅から徒歩15分/長期間空き家/設備は旧式/ペット臭・カビ臭あり

【戦略】
建物自体は使える状態だったため、大掛かりなリフォームは行わず、ハウスクリーニングと消臭処理、庭の草刈り、玄関周りの簡易整備のみを実施。
費用は約10万円程度に抑えつつ、内見時の第一印象を改善することに重点を置きました。

【結果】
「現況渡し」としながらも、“手を加えれば住めそう”という印象を持たせられたことで、内見者の反応は良好。1ヶ月半で、ファミリー層からの購入申し込みが入り、当初の想定よりも20万円高く売却成立。
買主も「好きにリフォームできるからかえってよかった」と満足度の高い取引となりました。

共通点:正直な情報開示と、戦略的な買主設定

これらの事例に共通しているのは、以下の3点です:

  1. 物件の状態を隠さず、むしろ“素材”としての価値を伝えたこと

  2. 最低限の印象アップ施策を施し、内見時の不安を取り除いたこと

  3. 「誰に売るか?」という買主像を明確にしたうえで情報発信したこと

このように、「このままでは住めない=売れない」ではないのです。
むしろ、“現況だからこそ魅力に感じる層”が存在している以上、的確なマーケティングと演出で、十分に売却のチャンスを引き寄せることが可能なのです。





8. リフォームせずに売る際のポイントと工夫

「このままでは住めない家だけれど、できれば手を加えずに売りたい」
そんなときに重要なのは、“ただ放置した状態で売り出す”のではなく、限られたコストと時間の中で、売れやすくするための工夫を凝らすことです。
ここでは、実際に現況で売却を成功させるために役立つポイントやテクニックをご紹介します。

ポイント1:物件の“ありのまま”を伝える勇気

リフォームをしないという選択をした場合、まず大切なのは正直に物件の状態を伝えることです。

  • 「築年数相応の使用感があります」

  • 「水回りの修繕が必要です」

  • 「現況渡し(契約不適合責任免責)です」

といった表現を資料にしっかり盛り込むことで、買主とのミスマッチを避け、納得感のある取引につながりやすくなります。

とりわけ、ポータルサイトの情報欄やチラシの文言、内見時の説明などで、物件のネガティブ要素をあえて明示する姿勢は、誠実さを感じさせるポイントにもなります。

ポイント2:最小限の美装・整理整頓はコスパ最強

「住めない状態」とはいえ、手を加えずにそのまま売り出すのと、ちょっとした印象アップの工夫をしてから売るのとでは大きな差が出ます。

おすすめは以下のような“簡易的だけど効果の高い施策”です:

  • ハウスクリーニング(特に水回り)

  • 不用品の撤去と室内の整理

  • 窓を開けて換気・カビ臭やペット臭の除去

  • 草刈りや庭の手入れ(外観印象が劇的に変わります)

  • 玄関マットの交換、照明の電球を明るいものにする

これらは、数万円~10万円以下の範囲で収まることも多く、売却スピードや成約率に直結する可能性があるため、現況販売でも費用対効果が非常に高い工夫といえるでしょう。

ポイント3:ターゲットを明確に設定する

現況物件が刺さる層は、「リフォーム前提で探している人」です。
そのため、広告や営業時の伝え方にも「DIY希望の方歓迎」「お好みのリフォームを楽しみたい方におすすめ」など、ターゲットに合わせた表現を意識することが重要です。

また、買主がリフォームをすることを前提に購入するため、「再建築可能かどうか」「リフォーム業者の紹介が可能か」「ローン利用の可否」などの購入後の安心材料を一緒に提示できると、より信頼感を持たれやすくなります。

ポイント4:価格設定は“勝負の決め手”

現況販売では、とくに価格の妥当性が重視されます。
買主にとっては、購入後にリフォーム費用が発生する前提となるため、「物件価格+改修費」が総コストとして見られます。

そのため、リフォーム済物件と同等かそれ以上の価格設定をしてしまうと、競争力を失うことに。
「現況だからこの価格」という納得感のある金額に設定することが、成約への第一歩です。




9. リフォームして売る場合の注意点

「見た目が良くなれば、きっと高く売れるはず」
そう信じてリフォームを決断する売主は少なくありません。たしかに、清潔感があり、すぐに住める住宅は買主に安心感を与え、成約につながりやすくなるという点で有利です。
しかし、リフォームをすれば必ずしも有利になるとは限らないというのが現実です。

ここでは、リフォームしてから売る際に注意しておきたいポイントを解説します。


注意点1:費用をかけすぎると価格競争で負ける

最もありがちな落とし穴は、“やりすぎリフォーム”による価格の過剰上昇です。
キッチンを最新モデルに、バスルームをフルユニットに、外壁塗装までピカピカに……と、フルリフォームを施した結果、売却価格にその費用をすべて上乗せしなければならなくなり、周辺相場より割高な物件になってしまうことがあります。

買主の多くは、“他物件との比較”で冷静に判断するため、価格が上がったぶんだけ魅力が相対的に下がるリスクがあるのです。


注意点2:買主の「好み」とズレる可能性

リフォームは、“万人受け”を狙って中途半端なデザインになることもあれば、逆に個性的すぎて買主の好みに合わないこともあります。

たとえば、システムキッチンの色や床材の柄、照明器具の雰囲気など、売主にとっての“素敵”が、買主にとっての“違和感”になることも
結果として、「せっかく新しいのに、結局取り替えたい」と思われてしまい、逆に印象を下げてしまうケースもあるのです。

このように、リフォームによって買主の自由度を奪ってしまうリスクを常に意識しておく必要があります。


注意点3:時間と資金のロス

リフォームには、工期と費用という2つの“コスト”が必ずかかります。
「今すぐ売りたい」という事情がある場合には、リフォームによって売却タイミングが遅れてしまうことで、結果的に
市場の鮮度を逃してしまう
リスクも生じます。

また、リフォーム費用を一時的に自己資金で立て替える必要があるため、資金繰りに余裕がない場合は、資金負担と売却リスクが二重にのしかかることにもなりかねません。


注意点4:「リフォーム済=完璧」と思われるリスク

買主にとって“リフォーム済”と表示されている物件は、「何もしなくても完璧な状態」という期待を持たれやすくなります。
そのため、内見時に少しでも手直しの痕跡が見えたり、クロスの一部に浮きがあったりすると、期待とのギャップが大きくなり、信頼を失いやすい傾向があります。

「この程度の仕上がりで“リフォーム済”と言っているの?」といった印象を与えないためにも、見えない部分の仕上がりや、施工後のチェックまでしっかりと対応する必要があります。


まとめ:リフォームは“売却戦略の一環”として判断する

リフォームは、売却を成功させるための有力な手段の一つです。
しかし、それはあくまで“戦略の一環”であり、目的や市場環境に応じて「どこまでやるか?」を見極める冷静さが必要です。

とくに、「誰に向けて」「どんな売り方をするのか」が決まっていないまま、とりあえずでリフォームをしてしまうと、費用だけが先行し、成約に結びつかないリスクも生まれます。

だからこそ、次章ではいよいよ本記事の総まとめとして、あなたの物件にとって**「最善の選択」**をどう見極めるべきかを整理していきます。




10. あなたの物件にとって最善の選択とは?

「リフォームしてから売るべきか、それとも現況のまま売るべきか?」
この記事をここまで読み進めてくださったあなたは、すでに両者のメリット・デメリットや市場のリアル、買主の心理や不動産業者の視点など、多面的な情報を手にされているはずです。

結論から言えば――「正解」は一つではありません。
大切なのは、あなた自身の“目的”と、“物件の状況”、“地域市場の特性”に応じて、最善の選択肢を“戦略的に”選ぶことです。


どんな売却を目指したいのか?

まず何よりも先に考えるべきは、「なぜこの家を売るのか?」という目的です。

  • 少しでも高く売って、次の資金にしたい

  • とにかく早く手放したい

  • 空き家の管理負担から解放されたい

  • 相続の整理を円滑に進めたい

  • 誰かに大切に使ってもらいたい

この“目的”によって、取るべき売却方法は大きく変わります。
高く売りたいなら、ある程度の見栄えを整えることが求められますし、早く売りたいなら、現況でのスピード重視の戦略が有効です。


物件の個性と買主像をマッチさせる

どんな物件にも、“その家ならではの価値”があります。

  • 土地が広い

  • 日当たりが良い

  • 間取りの自由度が高い

  • 駅に近い

  • 自然に囲まれている

これらの個性を「どんな人にとって魅力的か?」という視点でとらえることで、現況で売るかリフォームするかの判断にも方向性が見えてきます。

たとえば、自由に間取りを変更できる骨格を持った家であれば、「現況+低価格」で訴求し、リノベーション前提で買いたい層にアプローチした方が効果的です。
逆に、築年数は浅く、部分的に劣化が目立つ程度なら、最低限の美装と補修だけで“すぐ住める家”としての価値を発信する方が反応を得やすいかもしれません。


「情報公開の誠実さ」も、売却成功の鍵

どちらの選択をとるにしても、買主に対して誠実であることは共通の大原則です。

  • 現況のまま売るなら、その状態を正しく伝える

  • リフォームするなら、どこまで手を入れたか明確に示す

  • 建物に瑕疵があれば、きちんと伝えておく

このような情報開示があることで、買主との信頼関係が生まれ、価格交渉や契約トラブルを避けやすくなります。



専門家のサポートを戦略的に使う

最後に、すべてを一人で判断する必要はありません。
信頼できる不動産会社、建築士、リフォーム業者、税理士など、専門家と連携することで、あなたの目的に沿った売却戦略がより明確になります。

とくに、最初の一歩として有効なのは、「まず査定を受けてみること」です。
リフォーム前の状態での価格、リフォーム後の予想価格、それぞれの売却期間の目安などを提示してもらえれば、数値に基づいた判断が可能になります。

当社では、不動産売却に関わる専門家との連携をワンストップでサポートしております。
リフォーム・清掃・解体・測量・税務まで、目的に応じたご提案をいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。




おわりに

不動産売却は、人生の中でも大きな意思決定の一つです。
だからこそ、焦らず・惑わされず・戦略的に――
そして何より、自分にとって納得のいく選択をすることが一番大切です。

「リフォーム済?現況?」という問いに対する正解は、物件ごと・人ごとに違います。
この記事が、あなた自身の最善の答えを導き出すヒントになれば幸いです。





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