敷地の一部を売却大丈夫?

query_builder 2025/04/02
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敷地の一部を売却大丈夫?

不動産屋さんは聞かないと教えてくれない。不動産売却の盲点。

家の敷地が広く、使っていないスペースをどうにか有効活用できないかと考えたとき、「一部を売ってしまおうか」と思い立つことがある。実際、固定資産税の負担軽減や老後資金の確保、副収入の確保などを目的に、敷地の一部を売却するという選択肢は、近年じわじわと注目を集めている。

しかしその一方で、**「敷地の一部を売却しても本当に大丈夫?」**という不安の声が少なくないのも事実だ。確かに不動産屋に相談すれば、買い手を探してくれるかもしれない。けれど、そこで提示される条件が「自分にとって本当にベストな選択かどうか」は、また別の話だ。

さらに厄介なのは、不動産屋さんは“聞かれない限り”教えてくれない重要なポイントがいくつもあるということ。売却手続きはもちろん、用途地域や接道義務、建築基準法の制限、境界トラブル、共有持分の問題……。慎重に進めたつもりでも、後から思いがけない“落とし穴”に気づき、後悔するケースも少なくない。

「土地の一部を売るだけでしょ?そんなに大ごとなの?」と思っていると、思わぬリスクに足を取られることもある。実際には、敷地を分割するだけでも調査や測量、登記手続きなど、想像以上に複雑で、専門的な判断が必要な局面がいくつも登場する。

この記事では、「敷地の一部を売る」という選択がもたらす可能性とリスク、そして多くの人が見落としがちな“盲点”について、できるだけわかりやすく解説していく。読み終えたときには、単なる金銭的判断ではなく、法律・手続き・周囲との関係性まで含めた、総合的な視点からの意思決定ができるようになるはずだ。

「知らなかった…」では済まされない、不動産売却のリアルな一面を、ここから一緒に掘り下げていこう。

1. 敷地の一部を売るという選択肢とは?

自宅の敷地に余裕があると、ふとしたときに「ここ、使ってないし、売ってもいいのでは?」という考えがよぎる。特に、相続で広い土地を取得したり、子どもが独立して空いたスペースができたりすると、「必要な人に譲ったほうが土地も活きる」と前向きに捉える方も増えている。

実際に、不動産の売却というと「家ごと売る」イメージが強いが、最近では「一部だけを売る」という形が増えている。これにはいくつかの背景がある。

例えば、老後資金の確保や、固定資産税の負担を減らすために、土地の一部を売却して資金化したいというニーズ。あるいは、敷地の一部を駐車場や貸地として活用していたが、近所の人に売却してしまった方が管理の手間も省けるといった判断もある。

また、郊外エリアや地方都市では、広すぎる土地が逆に負担になっているケースも多い。草刈りや維持管理、そして将来的な相続問題を考えると、「いまのうちに少し手放しておく」ことは現実的な選択肢とも言える。

しかし、その一方で「一部を売る」という行為には、表面的には見えないさまざまな制約やリスクが存在する。敷地を分けるというのは、単純に「線を引いて売る」ような話ではない。用途地域や接道義務といった都市計画の制限、建築基準法、さらには近隣住民との境界の取り決めなど、複雑な条件が絡んでくる。

そして、意外と見落とされがちなのが**「担保設定の問題」**だ。もし現在の自宅に住宅ローンが残っていたり、土地に銀行の抵当権が設定されていたりすると、そのまま一部を売却することはできない。売却には銀行側の承諾が必要となり、場合によっては抵当権を部分的に抹消するための手続きや交渉も発生する。

この担保に関する手続きは、想像以上に時間がかかることもあり、買主との交渉タイミングを誤ると「せっかく話がまとまりかけたのに銀行の承諾が下りず流れてしまった…」という事態にもなりかねない。

つまり、「一部を売っても問題ないよね?」という軽い気持ちで進めると、後々大きなトラブルに発展する可能性すらあるのだ。

この記事では、そうした「一部売却」のリアルな現実と、思わぬ“落とし穴”を丁寧に掘り下げていく。次章では、知らなかったでは済まされない代表的なリスクを具体的に紹介していく。



2. 知らなかったでは済まされない!敷地売却の“落とし穴”

「土地を売る」と聞くと、どこかで「売主の自由でできること」と捉えてしまいがちだ。しかし、特に敷地の“一部だけ”を売るという場合、思わぬ落とし穴がいくつも潜んでいる。手続きやルールを正しく理解せずに進めてしまうと、あとから大きな問題に直面するリスクがある。ここでは、代表的な落とし穴を5つ紹介しよう。


1. 【境界線の不明確さ】

一番多く、かつ深刻なトラブルの原因となるのが「境界線の曖昧さ」だ。
「この辺がうちの土地」と感覚的に把握しているケースは多いが、実際には隣地との境界が未確定であったり、昔の測量が曖昧だったりすることが少なくない。

敷地の一部を売却するには、まず正確な境界を確定させる必要がある。土地家屋調査士による測量と、関係者との立ち合いを経て、初めて「法的に問題ないライン」が明確になるのだ。これを怠ると、売却後に隣人とのトラブルが発生し、売主としての責任を問われる可能性もある


2. 【接道義務と建築不可問題】

都市計画法および建築基準法により、土地には「接道義務」がある。原則として、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ、その土地には建物を建てられない。

つまり、分けた後の土地が道路に面していない、もしくは面していても接道幅が足りないと、「建築不可」の土地として評価されてしまうのだ。

売却する側としては「建物が建てられない」と知らずに売ってしまうと、買主から損害賠償を請求されるリスクもある。これらは不動産屋が説明してくれるとは限らず、自ら確認しておく必要がある。


3. 【地目の変更・分筆の手続き】

登記簿に記載された土地の「地目」が宅地でない場合、そのままでは住宅用地としての売却が難しい。さらに、一部売却を行うには分筆登記が必要となる。これには事前測量、境界確認、登記申請など、専門的かつ煩雑な作業が必要だ。

特に、もとの土地に銀行の抵当権が設定されている場合、分筆によって担保価値が変動することから、金融機関の承諾が必要になる。スムーズに承諾が得られるとは限らず、計画がストップする原因になることも。


4. 【違反建築になるリスク】

見落としがちだが極めて重要なのが、現在建っている家が「違反建築」になってしまうリスクだ。

たとえば、建ぺい率・容積率の上限いっぱいに建てられた住宅があるとする。その状態で敷地の一部を売却し、土地面積が減少すると、建築時に適法だったはずの建物が、法令違反の状態になる可能性がある。

このような場合、「既存不適格建築物」となり、将来的に増築や建て替えができなくなることもある。金融機関からの住宅ローン審査にも悪影響を与えるため、軽視できない問題だ。

土地を一部手放した代償として、残った建物の価値が大きく下がる――そんな本末転倒な事態を避けるためには、事前の建築法規チェックが不可欠だ。


5. 【残地の資産価値の低下】

一部を売ったあとに残る土地(残地)が、使いづらい形状になってしまうケースもある。例えば「旗竿地(はたざおち)」のように、細長く奥に伸びる形になると、将来的な売却や活用が難しくなる。

また、建ぺい率や容積率の制限によって、「前よりも建てられる建物が小さくなる」ということもある。これは残った土地の資産価値が下がることを意味しており、長期的に見ると大きな損失につながりかねない。


こうした落とし穴の多くは、事前に適切な専門家に相談し、しっかり調査を行うことで回避できる。しかし、逆に言えば「知らずに売る」ことが最大のリスクでもある。

次章では、こうしたリスクを踏まえて、売却前に理解しておくべき法律や制度のポイントを整理していく。



3. 事前に知っておきたい法律・制度

敷地の一部を売却する際には、単に「売りたい場所を決めて買い手を見つける」というだけでは済まない。土地というのは、法律や都市計画によって厳しく制限されており、それを知らずに進めると売却後に思わぬトラブルに発展することもある。

ここでは、売却前に最低限押さえておくべき、4つの重要な法制度を紹介する。


1. 【建築基準法と接道義務】

建築基準法では、建物の敷地が「幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していること」が義務付けられている。これは「接道義務」と呼ばれ、満たしていない土地には原則として建物を建てることができない。

敷地の一部を売ることで、その売却部分または残地がこの条件を満たさなくなると、建築不可の土地として評価され、資産価値が著しく低下する恐れがある。

また、既に家が建っている土地であっても、接道条件が変化することで**「既存不適格建築物」**とされ、建て替えや増築が制限されるケースもある。分筆する前に、両方の土地が接道要件を満たすかどうかを必ず確認しておきたい。


2. 【都市計画法と用途地域】

敷地が属するエリアによって、土地の使い道や建てられる建物の種類は異なる。これは「用途地域」と呼ばれる都市計画の一環で、たとえば第一種低層住居専用地域では、アパートや店舗の建設はできない。

もし売却予定の一部敷地が、住宅用ではなく市街化調整区域や工業専用地域に該当していた場合、そもそも買主が希望する用途で使えない可能性がある。

また、用途地域に応じて建ぺい率・容積率の制限が設けられており、土地の面積を減らすことで、現在の建物が法的制限をオーバーしてしまう場合もある。

事前に市役所や法務局などで、対象地の用途地域と建築制限を調査しておくことが不可欠だ。


3. 【農地法や地目の制限】

売却予定地が「農地」の場合、農地法が適用される。農地を宅地として売却するには、農地転用の許可申請が必要となるが、この手続きは非常に時間がかかり、行政からの許可が下りないケースもある。

また、登記簿上の「地目」が宅地でない場合は、**地目変更登記(地目変更手続き)**が必要となる。これを行わずに売却した場合、買主が希望する用途で利用できないトラブルに発展することもある。


4. 【抵当権と金融機関の承諾】

もし、現在の土地に住宅ローンなどによる抵当権(担保)が設定されている場合、その一部を売却するには、原則として金融機関の承諾と抵当権の一部抹消手続きが必要になる。

この際、金融機関は「担保価値が下がらないか」を厳しくチェックするため、売却価格や分筆後の土地の評価によっては承諾が得られないこともある。さらに、抵当権の一部抹消には司法書士による登記手続きが必要で、数万円〜十数万円のコストがかかる。

「勝手に売ることができない」状態にあるという点も、あらかじめ把握しておきたい。


このように、敷地の一部を売るという行為は、複数の法律や制度の交差点に立たされるようなものだ。表面的には簡単に見えても、その裏には調査・手続き・承諾など、見えないハードルがいくつも存在する。

次章では、不動産会社があえて説明しない、しかし現実には多くの人が直面する「3つの盲点」について掘り下げていく。



4. 不動産会社が教えてくれない「3つの盲点」

不動産売却を検討すると、多くの人は「まず不動産会社に相談してみよう」と考えるだろう。もちろんそれは正しい選択のひとつだが、「不動産会社にすべて任せておけば安心」とは限らないのが現実だ。

特に“敷地の一部を売却する”という特殊なケースにおいては、不動産会社が積極的に説明しない、または意図的に触れない重要なポイントがいくつかある。ここでは、そうした「教えてくれない3つの盲点」について紹介する。


盲点1:売却後に起こる近隣トラブルとクレーム

不動産会社は物件を「売る」ことに重きを置いているため、売却後の近隣トラブルについてはあまり深く説明しない傾向がある。

例えば、境界に関する誤解が解消されないまま売却が進み、新しい所有者が境界標を移動させようとした結果、長年の隣人関係が崩壊してしまう――という事例も少なくない。

また、共有の通路や水道、排水経路などが敷地内に含まれていた場合、「使えなくなった」として買主・近隣からクレームが入ることもある。売却時点でこうしたリスクを洗い出し、きちんと説明・調整しておく責任は、最終的に売主に帰属することを忘れてはならない。


盲点2:「建築不可」なのに売り物件になる理由

不動産会社によっては、建物が建てられない土地であっても、条件付きや現状渡しという形で物件を販売してしまうケースがある。つまり、接道義務を満たさない、用途地域の制限が厳しい、あるいは敷地面積が建築基準に届かないなど、建築不可の土地であっても、「売れるなら売ってしまおう」という姿勢がとられることがあるのだ。

もちろん、契約上は「建築不可であることを説明した」と記録に残されている場合も多く、買主が損をしても、不動産会社に責任が問えない構造になっている。

つまり、売却する側にとっても、「本当に買主が建物を建てられる土地なのか」を自ら確認しないと、後からトラブルに巻き込まれる可能性がある。知らずに売ってしまったことが、信頼や法的責任に関わってくるのだ。


盲点3:残った土地の資産価値が下がるリスク

一部を売って現金化できたとしても、残された土地の価値が大きく損なわれる可能性について、不動産会社が詳しく説明することは少ない。

例えば、もともと整形地だった土地をL字や旗竿地のような不整形地にしてしまうと、将来売却したくなったときに買い手がつきにくくなる。また、接道面が減ることで、建て替え時に希望する間取りや大きさの家が建てられなくなるというケースもある。

不動産会社は「今売る」ことにフォーカスしているため、10年後、20年後の土地活用や資産価値の維持という観点をあまり重視しない。それゆえ、売却する本人が将来を見据えて判断する視点を持たないと、大きな後悔を招く可能性がある。


なぜ教えてくれないのか?

これらのリスクについて、不動産会社が詳しく触れない理由は大きく2つある。

ひとつは、契約機会の損失を避けたいという営業上の事情。「話が複雑になって面倒くさそう」「不安になって売るのをやめようと思われたら困る」といった心理から、リスクを最小限に伝える傾向がある。

そしてもうひとつが、“恐怖心を助長させてしまうのでは”という遠慮だ。売主に対して「こういうことで困るかもしれません」と説明しすぎると、売却という選択そのものにネガティブな印象を与えてしまう可能性がある。その結果、「慎重になりすぎて話が前に進まない」「不信感を持たれるかもしれない」という不安が、担当者の中に無意識に働く。

つまり、リスクを伝えることが「良かれと思って言わない」方向に傾いてしまうのだ。だが、最終的に損をするのは売主自身であり、後になって「聞いてなかった」と後悔する声も少なくない。


では、こうしたリスクを避けるには、売主として何を準備し、誰に相談し、どう動くべきか?
次章では、**「失敗しないための準備とステップ」**を具体的に解説していく。



5. ではどうする?失敗しないための準備とステップ

ここまで見てきたように、敷地の一部を売却するには、想像以上に多くの落とし穴が潜んでいる。ただし、それらは「正しく知り、正しく準備する」ことで、ほとんどが回避できるものでもある。

この章では、トラブルを避けて納得のいく売却を実現するために、売主がとるべき準備とステップを順を追って解説する。


ステップ1:まずは全体像の把握と「分筆」の意識を持つ

「一部を売る」という行為は、実務上は“分筆(ぶんぴつ)”と呼ばれる作業になる。これは、ひとつの土地を二つ以上に分けるための測量・登記の手続きであり、非常に重要な第一歩だ。

分筆にあたっては、以下の情報を整理しておく必要がある:

  • 土地の登記簿と地積測量図(法務局で取得可)

  • 現況の利用状況(建物・塀・庭など)

  • どの範囲を売りたいか、どう分けたいかという希望

  • 抵当権の有無(住宅ローン残債など)

この段階で「土地のどこをどのように分けられるか」が不明確な場合は、土地家屋調査士に相談し、現地調査を依頼することをおすすめする。


ステップ2:専門家チームの選定と連携

一部売却の成功には、複数の専門家の連携が欠かせない。具体的には次のような人たちだ:

  • 土地家屋調査士:境界確定・測量・分筆登記

  • 司法書士:所有権移転・抵当権抹消などの登記手続き

  • 行政書士または建築士:用途地域・建築制限の調査やアドバイス

  • 不動産会社:実際の売却活動、買主の募集や価格査定

  • 金融機関担当者:担保解除や承諾手続きが必要な場合

これらの専門家と早期に連携し、スケジュールや役割を整理しておくことで、売却中の混乱やストレスを大幅に軽減することができる。


ステップ3:境界の確認と立ち合い調整

売却対象の土地について、正確な境界線を確定する作業は非常に重要だ。境界が不明確なままでは分筆もできず、売買契約そのものが成立しない。

この作業には、隣接地の所有者(場合によっては数件)との立ち合いが必要になる。スムーズにいけば1〜2ヶ月、調整が難航すれば半年以上かかることも珍しくない。

早めに取りかかり、誠実な対応を心がけることで、トラブルの芽を摘んでおける。


ステップ4:建築制限と残地への影響をチェック

売却後の残地が「建ぺい率・容積率オーバー」や「接道義務違反」になっていないかを確認することも重要だ。

また、将来的に建て替えを考えている場合は、希望の建物が建てられるかどうかを事前に建築士や役所の窓口でチェックしておくとよい。

売ることだけを考えるのではなく、「残った土地で将来どう暮らすか」を描いておくことで、判断にブレがなくなる。


ステップ5:売却前に金融機関へ相談する

住宅ローンが残っていたり、土地に抵当権が設定されている場合は、売却前に金融機関に連絡しておくことが不可欠だ。

必要に応じて、次のような手続きが発生する:

  • 抵当権の一部抹消申請

  • 分筆後の担保評価と金融機関の承諾取得

  • 売却資金の一部をローン返済に充当する条件調整

こうしたプロセスには時間がかかるため、売買契約前に準備しておくことで、トラブルを防ぐことができる。


敷地の一部を売るという選択は、決して手軽ではない。だが、これらの準備を丁寧に踏んでいくことで、「知らなかった」「こんなはずじゃなかった」と後悔することのない、納得のいく売却が可能になる。

次章では、実際に敷地の一部を売却した人たちの事例を紹介し、現実に起こった成功と失敗から、学び取れるポイントを探っていこう。

6. 実際に敷地の一部を売却した人の事例

理論や法律の話をどれだけ理解しても、「実際はどうだったのか?」というリアルな声には敵わない。
この章では、実際に敷地の一部を売却した3人の事例を紹介する。それぞれのケースから見えてくるのは、準備不足による落とし穴と、丁寧な対応による成功の違いだ。


事例①:境界確定に3年かかったケース(70代・男性)

地方都市にある広い敷地の一部を売却しようと考えたAさん。
隣地との境界にブロック塀があり「ここがうちの境界」と思っていたが、測量してみると実際の境界線は数十センチずれていた。

しかも、隣人との関係があまり良好でなく、立ち合いにもなかなか応じてもらえなかった。結局、境界確定までに3年近くかかり、その間に買い手もキャンセルに。

「もっと早く専門家に入ってもらって、きちんと準備しておけばよかった」と後悔をにじませた。

事例②:「建てられる」と思って売却し、訴訟へ(50代・女性)

都市部にある住宅街で、敷地の一部を知人に売却したBさん。
「道路に面しているし、住宅用地として問題ない」と思っていたが、実際には接道幅が足りず建築基準法違反の建築不可物件だった。

買主が建物を建てられないとわかった途端、「説明がなかった」と訴訟に発展。裁判では、「重要事項説明が不十分だった」として、売買契約の無効と損害賠償が認められた。

「信頼関係があったからこそ、ちゃんと説明するべきだった」と語るBさんの言葉は重い。

事例③:固定資産税も下がり、資産整理に成功(60代・夫婦)

子どもが独立し、広すぎる敷地を持て余していたCさん夫妻。家の横に使っていない家庭菜園スペースがあり、これを売却して管理の手間を減らしたいと考えた。

土地家屋調査士に相談し、分筆登記と境界確認を丁寧に実施。さらに、建築士にも相談して「売却後の残地でも建て替えができるか」まで確認したうえで売却を実行。

結果、買主にも喜ばれ、売却資金の一部で住宅設備のリフォームを実現。また、固定資産税も売却分だけ減額され、毎年のコスト削減にもつながった。


   「焦らず、しっかり準備すれば、こんなにスッキリするとは思わなかった」と笑顔で振り返る。

この3つの事例が示すのは、「敷地の一部を売る」ことは、単に土地の一部を手放す以上に人間関係、法的手続き、そして信頼性が問われるということだ。

次章では、読者から寄せられることの多い具体的な疑問や不安に対して、Q&A形式でわかりやすく答えていく


7. よくある質問とその答え(FAQ)

敷地の一部を売却するという選択肢は、一般的な売却とは違い、さまざまな不安や疑問がつきまとう。ここでは、実際に多く寄せられる質問をピックアップし、順に答えていく。


Q. 隣の人にだけ売ることはできますか?

A. はい、可能です。
個人間売買として、隣地所有者に売却することはよくあるケースです。ただし、価格設定や契約条件に偏りが出ないように注意が必要です。将来的なトラブルを避けるためにも、第三者(司法書士や不動産会社)を仲介に入れて取引の透明性を保つことをおすすめします。



Q. 古家が建っていても敷地の一部だけ売れますか?

A. 状況によっては可能ですが、慎重な判断が必要です。
既存建物の建ぺい率・容積率との兼ね合いや、接道義務の問題が関係してきます。土地の面積を減らすことで、残った建物が法的に違反状態(既存不適格)になるリスクがあるため、建築士や行政窓口に事前相談してから判断することが大切です。



Q. 売ってすぐ現金化できますか?

A. 条件が整っていれば可能ですが、一般的には時間がかかります。
分筆登記、境界確定、必要書類の準備、金融機関との調整(抵当権のある場合)など、売却までに2〜6ヶ月程度かかるのが一般的です。「買主が見つかればすぐに現金になる」とは限らないため、スケジュールには余裕を持って計画しましょう。



Q. 境界が曖昧なままでも売れますか?

A. 原則として、売れません。
境界が未確定のままでは分筆登記ができず、正式な売買契約を締結することはほぼ不可能です。また、仮に無理やり売却した場合でも、後に隣地トラブルが発生し、損害賠償を請求されるリスクがあります。

土地家屋調査士による測量と、隣接地所有者との立ち合いによって境界を確定させることが、売却成功の第一歩です。



Q. 分筆って必ずしなければいけませんか?

A. 一部売却をする場合は、基本的に必須です。
一筆の土地(ひとつの登記)を部分的に売るには、分筆登記によって法的に「別の土地」として切り分ける必要があります。これをしないまま売ると、後の登記や所有権移転ができず、契約自体が無効になる恐れも。


このように、敷地の一部を売る際には「知っていれば防げる」疑問や落とし穴が多数存在する。
どんな些細な疑問でも、早めに専門家に相談することが、安心・安全な売却への近道だ。

次章では、これまでの内容を振り返りつつ、売却を考える上での心構えとチェックポイントをまとめていく。


8. まとめ:敷地の一部を売る前に“知るべきこと”を押さえよう

敷地の一部を売る――たったそれだけのことが、これほど多くの制度やリスクと結びついているとは、想像していなかった方も多いかもしれない。

売却によって資金を得たり、不要なスペースを手放したりすることは、確かに生活を前向きに動かす有効な手段だ。しかしその一方で、「知らなかった」「聞いていなかった」では済まされない落とし穴がいくつも存在することを、ここまでの記事でご理解いただけただろう。

境界の不明確さ、接道義務、分筆登記、用途地域、違反建築のリスク、そして金融機関の承諾――。一つでも見落とすと、将来に禍根を残す事態にもなりかねない。

不動産会社は売買のプロではあっても、必ずしも全ての事情を汲んでくれるとは限らない。むしろ、聞かれないと教えてくれない、あるいは言いづらくて踏み込まないという場面も多い。だからこそ、売却を考える本人が「まず知る」「疑問を持つ」「確かめる」姿勢を持つことが重要なのだ。

手間や時間はかかるかもしれない。けれども、その一手間が「安心して売る」「後悔せずに手放す」ための最大の防波堤になる。

敷地の一部を売るという判断をする前に、今日この記事でお伝えしたような基本的な知識と注意点を押さえておくだけでも、結果は大きく変わる。

そしてもし、「一体なにから始めたらいいかわからない」「自分のケースに当てはまるか心配」と感じられたら、ぜひ一度、当社までご相談ください。

当社では、測量・登記・建築・法務・売買までをワンストップでサポートできる体制を整えております。
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